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2016.6.9

「1回の対局ごとに一喜一憂することはない」 棋士・橋本崇載八段インタビュー

“盤上の頭脳戦”とも言われる将棋の世界。そのなかで戦う棋士の集中力や精神力は並大抵のものではありません。プロの方はどのようにして集中力を保ったり気持ちを切り替えたりしているのでしょうか。対局結果だけでなく、ファッションや独自のパフォーマンスでも注目を集めた橋本崇載八段にお話をうかがいました。

生活のリズムを調整して挑む

―対局中、集中するために行なっていることがあれば教えてください。

どんなことでも同じだと思いますが、普段のパフォーマンスが発揮できるかどうかが大切ですよね。対局の3日前くらいから、少しずつ早起きをして生活のリズムを調整して対局に挑むようにはしています。

また、対局中は時間の長さによっても集中の仕方が変わってきます。短い対局で60分、長いものだと12時間かかるものもあるので全然違うんです。長い対局の場合はとくに、どこに集中する重点を置くかというのもポイントになってきます。将棋に関することならば、いくらでも集中できるという「将棋体力」がある人もいるんですけどね。

―やはりここぞというときに実力を発揮するためには、まずは生活のリズムを整えることが重要なんですね。ときには12時間にもおよぶ対局もあるとのことでとても驚いてしまったのですが、それだけの長時間集中力を保つというのは並大抵のことではないと思います。対局後はドッと疲れてしまいそうなイメージですが、どのように過ごされているのでしょうか。

元気が有り余っていたのか、若いころは終わった後でも飲みに行ったりしていましたね。今は対局の反省をその日のうちにするようにしています。たとえ勝った対局でも、全部が完璧だったと思えることはあまりないですから。対戦相手の立場になって、改めて対局のことを振り返ることで見えてくることがあります。対局中は気づかなかったことにも、終わった後ならば客観的に分析することができるんですよ。

対局の反省は次の日に持ち越さない

―「対局の反省」というのは、頭の中でシミュレーションして行うのでしょうか。

頭の中だけでなく、将棋盤を引っ張り出してきて、もう一度対局の状況を再現しています。相手の側から将棋のコマを見てみたり、自分だったら同じ局面でどうしていたのか実際に打ってみたり。何日か経った後にやるよりも、その日のうちにやったほうが記憶していますからね。「今日の教訓」なんて反省点をまとめたりもしています。

―長い対局を終えた後もなお“その日のうちに”、また勝敗にかかわらず、すべての試合において内容の振り返りと課題点のまとめまでされているのですね。また単に試合内容を振り返るといっても、橋本さんの場合は、ご自身の試合を対局相手側から見ることで、自身の課題の洗い出しをされている。この積み重ねが、どんな対局でも冷静さと高い集中力を保って対局に臨める橋本さんの強さの秘訣なのかもしれません。試合の結果を翌日まで引きずることはあまりないのでしょうか。

自分がベテランになってきた証拠でもあると思いますが、ほとんどないです。勝っても負けても気持ちに波がないというか。負けてもそこまで落ち込みませんし、逆に勝ってもものすごく喜んだりはしないですね。また次の対局もありますから。1回の対局ごとに一喜一憂することはあまりないです。対局の反省も、その日のうちに終わらせて次の日まで持ち越しません。

―ご自身が経営されている「SHOGI-BAR」やメディアの出演など、棋士以外の活動も多いかと思います。その分、気持ちの切り替えがより求められるのかもしれませんね。

そうですね。常に将棋のことばかりというわけにはいきませんから。だからこそ対局中は集中して、終わった後はしっかり反省する、というルールを自分のなかで決めています。とはいえ、くだらないミスをしたときは気持ちを切り替えるのが難しいですし、同じ失敗を何度もやらかしてしまうこともありますけどね。

僕の得意技は、周りが「まず負けないだろう」っていう相手にも負けることなんです(笑)。ただ、反対にリーグ戦でトップを走っているような相手に勝つこともある。つまり、誰にでも負けるし誰にでも勝つというか。結果がどう転ぶかわからないというのは、まだまだ自分の力が安定していない証拠です。一番大事なことは、勝敗よりも自分のベストパフォーマンスを発揮すること。目先の結果には左右されませんが、そのときにベストが尽くせたのかどうかというのは常に意識していきたいですね。

うまくいかないときや悔しい場面では、いつまでもそのことで落ち込んでしまいがちです。つい目先の結果ばかり気にしてしまうものですが、長期的な視点で見るようにしていると橋本さんは言います。結果自体を全く気にしない、というのではなく、最大限のパフォーマンスを発揮できた結果なのか否かという視点で振り返ることが大切であり、その振り返りの積み重ねが長く第一線で活躍するためには必要なことなのかもしれません。

(プロフィール)橋本崇載(はしもと たかのり)
1983年生まれ、石川県出身。1994年奨励会入会、1998年三段リーグ入り、2001年プロデビュー。2012年には順位戦A級を経験、竜王戦1組も長く務める実力派。サービス精神あふれる発言で注目を集め、TV等メディアへの出演も多い。将棋普及活動にも積極的で、将棋を観ながら&指しながらお酒を楽しめる「SHOGI-BAR」を新宿で経営。愛称は、ハッシー。 Twitter:@shogibar84

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